酒屋さんの棚で「ひやおろし」の文字を見かけても、どの蔵のどれを選べばいいか迷ったことはありませんか?実は佐久・小諸・佐久穂町エリアには、13もの日本酒の酒蔵があります。今回は、この13蔵それぞれの「ひやおろし」「秋あがり」情報を、サクトコモロト編集部が調べてまとめました。まだ知らない地元の銘柄との出会いに、ぜひ役立ててください。
「ひやおろし」「秋あがり」ってそもそも何?
「ひやおろし」とは、冬に仕込んだお酒を春に一度だけ加熱処理(火入れ)し、夏の間ひんやりした蔵で熟成させたあと、涼しくなった秋に2度目の加熱をせずそのまま出荷するお酒のことです。「秋あがり」は、それとよく似た「春に搾ったお酒が夏を越えて秋にまろやかに仕上がった状態」を指す言葉で、蔵によっては「ひやおろし」の別名として使っていたり、独自の商品名として使っていたりします。呼び方は蔵ごとに違うので、この記事でもそれぞれの蔵の表記のまま紹介します。
佐久・小諸エリアには13の酒蔵がある
佐久市・小諸市・佐久穂町を合わせたエリアには、13の酒蔵があります(長野県酒造組合の公式情報に基づく)。内訳は佐久市11蔵、小諸市1蔵、佐久穂町1蔵です。
13蔵の秋限定酒 早見表
| 蔵元(エリア) | 代表銘柄・秋限定酒 |
|---|---|
| 千曲錦酒造(佐久市) | 千曲錦:ひやおろし純米大吟醸原酒、秋あがり純米吟醸など |
| 大塚酒造(小諸市) | 浅間嶽:秋あがり純米吟醸原酒 |
| 戸塚酒造(佐久市) | 寒竹:ひやおろし特別純米酒 |
| 土屋酒造店(佐久市) | 亀の海:ひやおろし純米吟醸(生酛造り)、秋あがり純米吟醸 |
| 橘倉酒造(佐久市) | 菊秀:純米吟醸 無尽蔵 ひやおろし |
| 佐久の花酒造(佐久市) | 佐久の花:ひやおろし純米大吟醸 たかね錦 |
| 黒澤酒造(佐久穂町) | 井筒長・黒澤:ひやおろし各種、秋あがり(かねいそ・黒澤穂積) |
| 武重本家酒造(佐久市) | 御園竹:蔵内生熟成(純米)(2026年9月9日「ひやおろしの日」リリース) |
| 古屋酒造店(佐久市) | 深山桜:秋限定酒については後述の事情により確認できていません(詳しくは後述) |
| 大澤酒造(佐久市) | 信濃のかたりべ・明鏡止水:特撰純米吟醸 ひやおろし、純米吟醸 吟織 秋あがり |
| 芙蓉酒造(佐久市) | 金宝芙蓉:秋限定酒の情報は確認できていません |
| 伴野酒造(佐久市) | 澤乃花:満ち月 純米大吟醸(季節限定商品・9月初旬発売) |
| 木内醸造(佐久市) | 初鶯:秋限定酒の情報は確認できていません |
※この記事の情報は、各蔵の公式サイト・正規特約店のサイトに基づいています(2026年9月時点)。古屋酒造店を除く、秋限定酒の情報が確認できていない蔵は、公式サイト・SNSアカウントの存在は確認できたものの、秋限定酒に関する具体的な商品名までは今回の調査では特定できませんでした。「出していない」という意味ではなく、あくまで「確認できなかった」という状態です。
※価格は各蔵の公式サイト・正規特約店で確認した時点のものです。店舗や時期により変動する場合があります。
※黒澤酒造の秋あがりブランド名は、機種依存文字(合成文字)での表示崩れを避けるため、読み仮名「かねいそ」で表記しています。
13蔵それぞれの秋限定酒をもう少し詳しく
早見表の13蔵について、それぞれの蔵の「気になるポイント」をもう少し掘り下げます(詳しい商品名は上の表を参照してください)。各蔵の紹介の下に、公式サイトへのリンクを付けています。
千曲錦酒造(佐久市)
山田錦を全量使用したひやおろしなど、複数の秋季限定酒を展開する蔵。2026年10月10日(土)・11日(日)には蔵元でイベントも開催予定です。詳しくは秋の大感謝祭2026の記事もあわせてチェックしてみてください。

大塚酒造(小諸市)
小諸市唯一の酒蔵。他の蔵の多くが「ひやおろし」と呼ぶのに対し、大塚酒造は「秋あがり」という表記を使っているのが面白いポイントです。正規特約店では720ml 2,145円・1800ml 3,960円(税込)で販売されています。
戸塚酒造(佐久市)
代表銘柄「寒竹(かんちく)」のひやおろし特別純米酒を展開。「寒竹」は読みがなが付くと安心して検索できる銘柄名です。
土屋酒造店(佐久市)
「亀の海」ブランドで、ひやおろし(生酛造り)と秋あがりを飲み比べられるのが特徴です。
橘倉酒造(佐久市)
「菊秀」で知られる橘倉酒造は、「無尽蔵」シリーズの純米吟醸ひやおろしを蔵元オンラインストアで販売しています。
佐久の花酒造(佐久市)
代表銘柄「佐久の花」のひやおろしは、純米大吟醸・たかね錦を使用。1800mlサイズでの展開が確認できました。
黒澤酒造(佐久穂町)
13蔵の中で唯一、佐久穂町に蔵を構える黒澤酒造。ひやおろし・秋あがりともに複数のブランド名で展開しているのが特徴です(詳しい銘柄名は上の表を参照してください)。
武重本家酒造(佐久市)
代表銘柄「御園竹」の武重本家酒造の秋限定酒は、きもと原酒を生酒のまま半年以上熟成させた1本。長野県産美山錦を100%使用しており、720ml 1,600円(税込)で販売されています。
古屋酒造店(佐久市)
代表銘柄「深山桜」の古屋酒造店は、2024年12月23日未明に発生した火災により、蔵と社長宅が全焼しました。現在は佐久穂町の黒澤酒造の協力を得て醸造を続けており、2025年7月には焼け残った米を使った復活酒「和和和 深山桜 純米吟醸酒 ひとごこち」(佐久市産ひとごこち100%使用、720ml 2,200円)を発売しています。2026年の秋限定酒については情報を確認できませんでしたが、蔵の再建に向けた歩みが続いています。深山桜の今後の展開にも、ぜひ注目してみてください。
大澤酒造(佐久市)
「信濃のかたりべ」に加えて、看板銘柄「明鏡止水」を持つ大澤酒造。秋限定酒は2種展開で、「特撰純米吟醸 ひやおろし」は米の旨みをしっかり楽しめる1本、「純米吟醸 吟織 秋あがり」は純米吟醸に大吟醸のオリを絡めたうすにごり酒です。どちらも1800ml・720mlがあり、9月限定発売となっています。
芙蓉酒造(佐久市)
代表銘柄「金宝芙蓉」の芙蓉酒造は、清酒のほかに焼酎も造っている蔵です。秋限定酒の情報は今回の調査では確認できませんでした。気になる方は、公式サイトをチェックしてみてください。
伴野酒造(佐久市)
代表銘柄「澤乃花」の伴野酒造は、公式サイトで「満ち月」純米大吟醸を季節限定商品として9月初旬に発売しています。「ひやおろし」「秋あがり」という表記は使っていませんが、秋口に登場する限定流通商品というのは他の蔵と共通するポイントです。720ml 2,310円・1800ml 3,960円(税込)で販売されています。
木内醸造(佐久市)
代表銘柄「初鶯」の木内醸造は、焼酎「天雪」も手がける蔵です。秋限定酒の情報は今回の調査では確認できませんでした。気になる方は、公式サイトをチェックしてみてください。
ひやおろしと秋あがり、どっちを選べばいい?
違いに厳密な決まりはなく、どちらも「秋にしか出会えない季節限定酒」という点は共通しています。強いて言うなら、「ひやおろし」は”2度目の加熱をしない”という製法に基づく呼び方、「秋あがり」は”夏を越えて旨みが増した状態”を表す呼び方です。迷ったら、まずは近所の酒屋さんや直売所で「秋の限定酒はありますか?」と聞いてみるのがおすすめです。
まとめ
佐久・小諸・佐久穂町エリアには13もの酒蔵があり、それぞれが秋になると個性豊かな「ひやおろし」「秋あがり」を蔵出しします。今回、商品名まで確認できたのは13蔵中10蔵でしたが、残りの3蔵についても、サクトコモロト編集部で引き続き情報を追いかけていく予定です。まずは気になった1本から、この秋の地酒めぐりを始めてみませんか。
確認日:2026年9月24日